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マンションの遮音性は床構造よりスラブ厚とL値をチェック!

マンションの遮音性は床構造よりスラブ厚とL値をチェック!

建物性能と住み心地

作成日:2025/12/13 12:12 / 更新日:2025/12/18 08:12

マンション購入検討時、営業担当者から「この物件は 二重床(にじゅうゆか) なので静かですよ」というセールストークを聞いたことはありませんか?

実は、この認識は必ずしも正しくありません。条件によっては、むしろ二重床の方が音が響くケースさえあります。

本記事では、「建物の構造」を分解し、イメージや営業トークに惑わされない本当に住み心地の良いマンションを見極めるための知識を解説します。

1. 【結論】床構造だけで遮音性能は決まらない

まず最初に、この記事の結論をお伝えします。

  • 「二重床だから遮音性が高い」という科学的根拠はない。

  • 騒音問題の核心は、床の仕上げ(二重床か直床か)ではなく、 コンクリートスラブの「厚さ」と「重さ」 にある。

  • それぞれにメリット・デメリットがあり、ライフスタイルに合わせて選ぶべきである。

なぜ「二重床信仰」が生まれたのか、実際の構造を見ながら紐解いていきましょう。

1-1. 図解で見る「二重床」と「直床」の構造的差異

マンションの床構造は、大きく分けて2種類あります。最大の違いは、コンクリート(スラブ)とフローリングの間に 「空間」があるかどうか です。

  • 二重床(にじゅうゆか)

    • 構造: コンクリートスラブの上に「支持脚」を立て、その上に床材を張る構造。

    • 特徴: 床下に空間があるため、配管を通しやすく将来のリフォーム(水回りの移動など)がしやすい

  • 直床(じかゆか)

    • 構造: コンクリートスラブに直接、クッション材付きのフローリングを接着する構造。

    • 特徴: 構造がシンプルで建設コストが安く、天井高を確保しやすい

1-2. なぜ「二重床=静か」という通説が生まれたのか

二重床はコストがかかるため、かつては「高級マンション=二重床」という図式が一般的でした。「価格が高い物件=性能も良いはず」という心理に加え、リフォーム性の高さというメリットが遮音性と混同され、「高級仕様だから音も静かなはずだ」というイメージが定着してしまったのです。

2. 遮音性能を決定づける「2種類の音」

「音」と一言で言っても、スプーンを落とす音と、子供が走り回る音では、伝わり方が全く異なります。

音の種類

正式名称

具体例

対策のポイント

軽い音

軽量床衝撃音 (LL)

スプーンの落下音、スリッパの歩行音

床の表面材(クッション性)が重要

重い音

重量床衝撃音 (LH)

子供が走る音、飛び跳ねる音

コンクリートの厚さが重要

2-1. 軽量床衝撃音(LL)は「直床」が有利?

意外かもしれませんが、スプーンを落とした時のような「コツン」という高い音(軽量床衝撃音)に関しては、直床の方が有利な場合があります。

  • 直床: フローリング裏の「ふわふわしたクッション材」が衝撃を吸収し、音を消してくれる。

  • 二重床: 硬い下地材の上に床があるため衝撃が吸収されにくく、床下の空間で音が反響する「太鼓現象」が起きるリスクがある。

2-2. 重量床衝撃音(LH)は「スラブの厚さ」で決まる

マンション騒音で最もトラブルになりやすい「ドスン」という足音(重量床衝撃音)。これに対しては、二重床か直床かはあまり関係ありません。コンクリートスラブそのものの厚みと硬さが全てです。

つまり、「スラブ厚200mmの二重床」よりも、「スラブ厚250mmの直床」の方が、遮音性能は圧倒的に高いのです。

3. 静かな住まいを見極める3つのチェックポイント

では、実際に物件を選ぶ際、どこを見ればよいのでしょうか。営業トークに頼らず、数値で確認するためのチェックリストです。

✅ ① コンクリートスラブ厚は「200mm以上」か

設計図書やパンフレットの構造ページを確認してください。

  • 〜180mm: 音が伝わりやすい可能性あり。

  • 200mm〜250mm: 一般的な分譲マンションの標準。

  • 250mm〜: 非常に優秀。遮音性が高いと期待できる。

  • ボイドスラブの場合: 中空構造のため、通常のスラブより厚み(+50mm程度)が必要です。

✅ ② 遮音等級「L値」を確認する

住宅性能表示制度などで示される「L値(エルち)」を確認しましょう。数字が小さいほど性能が良いです。

  • LH-45 / LL-45: 遮音等級が高く、推奨されるレベル。

  • LH-50 / LL-50: 標準的なレベル。

✅ ③ 梁(はり)の位置と面積

天井や床を支える「梁」で囲まれた面積が小さいほど、床は揺れにくくなります(太鼓の皮が小さいほど鳴りにくいのと同じ理屈です)。間取り図を見て、大梁がしっかり入っている物件は安心感があります。

4. 【徹底比較】二重床 vs 直床 メリット・デメリット表

「音」以外の要素も含めて、どちらがあなたのライフスタイルに合っているか、一覧表で比較しました。

比較項目

二重床(二重天井)

直床(二重天井)

構造コスト

高い(物件価格が上がりやすい)

安い(コスパが良い)

リフォーム自由度

◎ 高い


床下に配管を通せるため、キッチン移動などがしやすい。

△ 低い


水回りの大幅な移動は難しい。

天井高

床下空間が必要な分、低くなりやすい。

床高が低いため、天井を高くしやすい

歩行感

硬め


しっかりした踏み心地。

柔らかめ


クッション材特有のフワフワ感がある。

メンテナンス

配管の点検・更新が容易。

配管が埋設されている場合、交換が大掛かり。

遮音性(軽量音)

対策品でないと太鼓現象のリスクあり。

クッション材により有利な傾向。

遮音性(重量音)

スラブ厚次第。

スラブ厚次第。

どちらを選ぶべき?

  • 二重床がおすすめな人:

    • 「将来、フルリノベーションして間取りを大きく変えたい」

    • 「床のフワフワした感触がどうしても苦手」

    • 「資産価値としてリフォームのしやすさを重視する」

  • 直床がおすすめな人:

    • 「購入価格を抑えて、広い部屋や立地の良い部屋を買いたい」

    • 「天井が高く、開放感のある部屋に住みたい」

    • 「高齢者や子供がいて、床が柔らかい方が安心」

5. よくある質問(Q&A)

Q1. 賃貸マンションで遮音性を確認する方法は?

設計図書を見るのは難しいため、内見時に以下を確認してください。

  1. スリッパを脱いで歩く: かかとから着地して、床が大きく揺れないか。

  2. 壁の厚さを推測する: 隣戸との境界壁を軽く叩いて(コンコンと詰まった音がするか)、サッシの厚みを見る。

  3. 角部屋・最上階を選ぶ: 物理的に接する住戸を減らすのが最も確実な対策です。

Q2. 「太鼓現象」とは何ですか?

床下の空間が太鼓の胴の役割を果たし、音を増幅させてしまう現象です。最近の二重床マンションでは、空気を逃がす工夫やゴム付きの支持脚を採用して対策している物件も増えています。

Q3. 入居後に足音が気になります。対策は?

重量床衝撃音(ドスンという音)は、後からの工事で消すのが非常に困難です。最も効果的なのは 「発生源での対策」 です。

  • 厚手の防音カーペットやコルクマットを敷く。

  • 子供の遊ぶスペースにはジョイントマットを重ね敷きする。

  • 椅子に脚カバーをつける。

まとめ

「二重床だから安心」という思い込みは捨てましょう。

本当に快適な住まいを手に入れるためには、「スラブ厚」や「L値」といった客観的なスペックを確認し、ご自身の優先順位(リフォーム性 vs コスト・天井高)に合わせて構造を選ぶことが大切です。

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マンションの遮音性は、記事で解説された通り、スラブ厚や床構造など複合的な要因で決まります。既存の住まいの遮音性能に課題を感じ、床のリフォームを検討する際には、信頼できる業者選びが重要となります。 「ハピタスリフォーム」は、簡単な情報入力だけで、厳選された優良リフォーム会社へ無料で見積もりを依頼できるサービスです。複数の業者から客観的な比較検討ができるため、ご自身の希望に合った最適なプランを見つけやすくなります。遮音性向上のための具体的な工法や費用について、まずは専門家からの提案を参考にしてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

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