住まいギーク

高市新政権でマンション価格は高騰?住宅市場・住宅ローンの今後を徹底解説

高市新政権でマンション価格は高騰?住宅市場・住宅ローンの今後を徹底解説

資産形成

作成日:2025/10/09 07:10 / 更新日:2025/10/10 15:10

1. 日本初の女性首相誕生と経済政策「サナエノミクス」への注目

1-1. 高市早苗氏、第104代内閣総理大臣に就任の見通し

202X年10月4日、自由民主党の総裁選挙で高市早苗氏が選出されました。これにより、日本で初めての女性の自民党総裁が誕生したことになります。報道によれば、高市氏は臨時国会で第104代内閣総理大臣に選ばれる見通しです。憲政史上初の女性首相として、その政策運営に大きな注目が集まっています。

出展: 朝日新聞デジタル「自民党総裁に高市早苗さん 女性で初めて、次の首相へ」(202X年10月5日配信)

"自由民主党(自民党)のリーダーにあたる総裁を新しく決める選挙が10月4日、投開票されました。前経済安全保障担当大臣の高市早苗さん(64歳)が第29代総裁に選ばれ、初めての女性の総裁となりました。15日にも開かれる予定の臨時国会で第104代内閣総理大臣(首相)に選ばれる見通しです。就任すれば、憲法にもとづく政治が行われるようになってから初の女性首相となります。"

1-2. 経済政策「サナエノミクス」の三本の矢とは

高市氏が掲げる経済政策は、通称「サナエノミクス」と呼ばれています。この政策は、主に「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「危機管理投資・成長投資」の三本を柱として構成されています。長年にわたるデフレ経済からの完全脱却を最重要課題と位置づけている点が特徴です。日本経済の持続的な成長を実現するため、政府と日本銀行が一体となって政策を推進する姿勢を明確にしています。

第一の矢である「大胆な金融緩和」は、物価安定目標である2%を達成するまで継続されるべきだとの考えが示されています。これは、市場に潤沢な資金を供給し続けることで、企業の投資や個人の消費を促し、経済活動を活発化させることを目的としています。現行の金融緩和政策を維持、あるいは必要に応じて強化する可能性を示唆するものです。

第二の矢である「機動的な財政出動」は、経済状況に応じて政府が積極的に財政支出を行うことを意味します。特に、物価安定目標が達成されるまでは、財政健全化の指標であるプライマリーバランスの黒字化目標を一時的に凍結するとしています。これにより、大規模な補正予算の編成など、柔軟な財政運営が可能となります。

第三の矢は「危機管理投資・成長投資」です。防災・減災や国土強靱化といった国民の安全を守るための投資を積極的に進めます。同時に、サイバーセキュリティや科学技術、宇宙開発など、将来の日本の成長を支える分野への重点的な投資も掲げています。経済安全保障の観点からも、国内のサプライチェーン強靭化などに予算を配分する方針です。

1-3. デフレからの完全脱却を最優先する政策スタンス

サナエノミクスの根幹には、デフレからの完全な脱却を何よりも優先するという強い意志があります。バブル崩壊以降、日本経済は長らく物価が持続的に下落するデフレに苦しんできました。デフレは企業の売上や利益を圧迫し、賃金の伸び悩みや設備投資の停滞を招く悪循環を生み出します。

高市氏の政策は、このデフレマインドを払拭することが経済再生の第一歩であるという認識に基づいています。そのため、財政規律よりも経済成長を優先する姿勢が鮮明です。プライマリーバランス黒字化目標の凍結は、その象徴的な政策と言えます。財政再建の必要性は認識しつつも、まずは経済のパイを大きくすることを優先する考え方です。

この政策スタンスは、政府が国債を増発し、それを日本銀行が金融緩和によって支えるという構図を継続することを意味します。政府の積極的な財政出動が需要を創出し、日本銀行の金融緩和が低金利環境を維持することで、民間企業の投資や個人の消費を刺激する好循環を目指すものです。この政策が金利や不動産市場に与える影響は極めて大きいと考えられます。

2. 政策金利に与える影響:低金利政策は継続されるのか

2-1. 日銀の金融緩和と政府の財政出動の連動性

高市政権が誕生した場合、政策金利は当面の間、低位で推移する可能性が高いと見られます。これは、サナエノミクスの柱である機動的な財政出動と大胆な金融緩和が密接に連動しているためです。政府が大規模な財政出動を行うためには、その財源として国債を大量に発行する必要があります。

国債の発行量が増加すると、通常は市場での金利が上昇する圧力がかかります。しかし、金利が上昇すると政府の利払い負担が増大し、企業の借入コストも増加するため、経済活動にブレーキをかけてしまいます。これを避けるため、日本銀行が国債を買い入れるなどの金融緩和策によって、長期金利を低い水準に抑制することが不可欠となります。

つまり、高市政権が目指す積極財政は、日本銀行による金融緩和の継続が前提となっています。政府と日銀が一体となってデフレ脱却を目指すという考え方のもと、政府は日銀に対して金融緩和を維持するよう求める圧力を強めることが予想されます。そのため、短期的な利上げ、すなわち政策金利の引き上げは極めて選択しにくい状況が続くと考えられます。

2-2. プライマリーバランス黒字化目標の凍結が意味するもの

政策金利が低位で維持されると考えるもう一つの理由は、プライマリーバランス黒字化目標の凍結です。プライマリーバランスとは、国債の元利払いを除いた歳出と、税収などの歳入との差を示す指標です。この黒字化は、新たな借金に頼らずに政策的な経費を賄える状態を意味し、財政健全化の重要な目標とされてきました。

高市氏がこの目標を物価安定目標達成まで凍結すると表明していることは、財政規律よりも経済成長を優先する明確なシグナルです。目標を凍結することで、景気対策や成長投資のための大規模な財政出動を躊躇なく行えるようになります。これは、当面の間、国債発行額が高水準で推移することを意味します。

前述の通り、高水準の国債発行を支えるためには、金利を低く抑える金融緩和策が不可欠です。財政健全化への道筋が遠のく中で金利が上昇すれば、国債の信認が揺らぎかねません。そのような事態を避けるためにも、政府・日銀は協調して低金利環境を維持せざるを得ないという構造的な要因が働きます。したがって、政策金利の引き上げは当面見送られる可能性が高いです。

2-3. 金欧米の中央銀行との政策の方向性の違い

現在の世界の金融市場を見ると、多くの中央銀行がインフレ抑制のために金融引き締め、つまり利上げを進めています。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は、歴史的な物価上昇に対応するため、急速なペースで政策金利を引き上げてきました。こうした世界の潮流とは対照的に、日本は金融緩和を継続しています。

この金融政策の方向性の違いは、為替市場において円安を進行させる大きな要因となっています。高市政権が金融緩和の継続を明確に打ち出せば、日米や日欧の金利差はさらに拡大するとの思惑から、円を売ってドルやユーロを買う動きが加速する可能性があります。円安は輸出企業の収益を改善させる一方で、輸入物価を押し上げるという側面も持ちます。

エネルギーや食料品など、多くの品目を輸入に頼る日本では、過度な円安は国民生活を圧迫する要因となります。物価高が賃金の上昇を上回る状況が続けば、個人消費が冷え込み、経済成長の足かせになりかねません。金融緩和の継続は低金利を維持する上で有効ですが、その副作用である円安と輸入インフレへの対応が新政権の重要な課題となります。

3. マンション価格への影響:需要と供給の両面から価格を押し上げる要因

3-1. 需要サイド:低金利が住宅ローン利用者の購買意欲を刺激

高市政権下で金融緩和が継続されれば、マンション価格は上昇基調が続く可能性があります。その最大の要因は、住宅ローン金利が低位で安定することです。多くの人がマンションを購入する際に利用する住宅ローンは、金利の動向が返済総額に大きな影響を与えます。低金利環境が続くという見通しは、購入検討者にとって追い風となります。

特に、変動金利型の住宅ローンは、日本銀行の政策金利の影響を強く受けます。政策金利が据え置かれれば、変動金利も低い水準で推移するため、月々の返済負担を抑えることができます。これにより、これまで購入をためらっていた層の購買意欲が喚起されたり、より高額な物件を検討する人が増えたりする効果が期待できます。

また、将来的な金利上昇への懸念が後退することで、駆け込み需要ではなく、計画的な住宅購入が進む可能性もあります。低金利という良好な借入環境が当面続くと考えられるため、住宅市場、特に都市部のマンションに対する実需は底堅く推移すると予想されます。これがマンション価格を下支えする重要な要因となります。

3-2. 需要サイド:景気回復期待による実需と投資需要の拡大

サナエノミクスが目指す積極的な財政出動と金融緩和は、日本経済全体の景況感を改善させることを目的としています。もし政策が功を奏し、企業の業績が向上して賃金の上昇につながれば、個人の所得環境も改善します。所得の増加は、住宅購入能力の向上に直結し、より品質の高いマンションや、より立地の良いマンションへの需要を高めることになります。

さらに、景気回復への期待感は、投資用不動産としてのマンション需要も喚起します。株式市場などが活況を呈すれば、投資家のリスク許容度が高まり、資産ポートフォリオの一環として不動産投資を検討する動きが活発になります。低金利環境では、ローンを活用して高い利回りを狙うレバレッジ効果も期待できるため、ワンルームマンションやファミリータイプのマンションへの投資資金の流入が増える可能性があります。

このように、実需と投資需要の両面からマンション市場への資金流入が期待されるため、需要が供給を上回る状況が継続しやすくなります。特に、交通利便性や生活利便性の高い都心部やその周辺エリアでは、資産価値の維持・向上を期待した需要が集中し、価格上昇圧力が一層強まることが考えられます。

3-3. 供給サイド:公共投資拡大がもたらす建設コストの高騰

需要面だけでなく、供給面からもマンション価格を押し上げる要因が存在します。サナエノミクスの柱の一つである「危機管理投資・成長投資」は、防災・減災対策や国土強靱化といった公共事業の拡大を伴います。これらの大規模な公共事業が実施されると、建設業界全体で人材や資材の需要が急増します。

しかし、建設業界は以前から深刻な人手不足に直面しており、特に熟練した技能を持つ労働者の確保は困難な状況です。そこに公共事業という大きな需要が加わると、労働者の奪い合いが激化し、人件費はさらに高騰することが避けられません。人件費の上昇は、マンション建設のコストに直接的に反映されることになります。

マンションデベロッパーは、上昇した建設コストを販売価格に転嫁せざるを得ません。したがって、新築マンションの価格は上昇傾向を強めることになります。また、新築マンションの価格が上昇すると、それに引きずられる形で中古マンションの価格も上昇する傾向があります。公共投資の拡大は、供給側のコストを押し上げることで、不動産市場全体の価格水準を引き上げる要因として作用します。

3-4. 供給サイド:資材価格の上昇とサプライチェーンの課題

建設コストを構成するもう一つの大きな要素は、建築資材の価格です。近年、世界的な需要増や地政学リスクの高まりを背景に、木材や鉄骨、コンクリートといった主要な建築資材の価格は高騰を続けています。これに加えて、前述の為替市場における円安の進行が、輸入資材の価格をさらに押し上げる要因となっています。

高市政権が金融緩和を継続し、円安基調が続くとすれば、資材価格は高止まり、あるいは更なる上昇を見せる可能性があります。また、経済安全保障の観点から国内のサプライチェーンを見直す動きも、短期的にはコスト増につながる可能性があります。安定供給を優先するために調達先を変更したり、国内生産に切り替えたりする際には、一時的にコストが上昇することが考えられます。

これらの資材価格の上昇も、人件費の高騰と同様に、マンションの建設コストを増加させ、最終的には販売価格に反映されます。需要の強さと供給コストの上昇という二つの力が同時に働くことで、マンション価格は多角的に上昇圧力を受けることになり、価格の上昇基調が継続または加速する可能性は高いと言えます。

4. 今後の不動産市場における注意点と長期的な展望

4-1. 財政規律の緩みがもたらす将来的な金利上昇リスク

サナエノミクスが不動産市場に与える影響は、短期的には価格上昇という形で現れる可能性が高いです。しかし、長期的な視点で見ると、いくつかのリスク要因も考慮しておく必要があります。その一つが、財政規律の緩みによる将来的な金利の急騰リスクです。

プライマリーバランス黒字化目標を凍結し、国債発行を拡大し続ける政策は、国の借金を増加させ続けます。市場が日本の財政状況を不安視し、国債の信認が低下するような事態になれば、国債の買い手がつかなくなり、金利が急上昇する可能性があります。これは「財政破綻」のリスクとは異なりますが、金利のコントロールが効かなくなるという深刻な事態です。

もし長期金利が急騰すれば、住宅ローンの固定金利が大幅に上昇し、不動産市場は一気に冷え込むことになります。また、企業の設備投資も停滞し、経済全体に深刻なダメージを与える恐れがあります。積極財政は短期的な景気刺激効果が期待される一方で、将来世代に大きな負担を残し、金融市場を不安定化させるリスクを内包している点を認識しておく必要があります。

4-2. 金融政策の正常化(出口戦略)が迫られる可能性

もう一つのリスクは、金融政策の正常化、いわゆる「出口戦略」です。現在は金融緩和の継続が想定されますが、もしサナエノミクスが成功し、持続的な物価上昇と賃金上昇が実現した場合、日本銀行はいずれ金融緩和策を終了し、金利を引き上げる正常化のプロセスへと移行する必要に迫られます。

また、国内の要因だけでなく、海外の経済情勢や金融市場の動向によって、意図せざる形で出口戦略を検討せざるを得なくなる可能性も否定できません。金融政策の正常化が始まれば、政策金利が引き上げられ、住宅ローンの変動金利も上昇に転じます。変動金利で多額のローンを組んでいる人にとっては、返済額が増加し、家計を圧迫する要因となります。

不動産市場にとっては、金融緩和の終了は大きな逆風となります。借入コストの上昇は、住宅購入意欲を減退させ、不動産価格の下落圧力となる可能性があります。現在の低金利が永遠に続くわけではないという前提に立ち、将来の金利上昇にも耐えうる資金計画を立てておくことが、不動産を購入する上で極めて重要になります。

4-3. 不動産購入を検討する上での心構えと情報収集の重要性

高市政権の経済政策は、短期的にはマンション価格の上昇を後押しする可能性が高いと考えられます。低金利環境が続くことで住宅ローンが利用しやすくなり、景気回復期待が需要を刺激する一方で、建設コストの高騰が供給価格を押し上げるからです。購入を検討している人にとっては、厳しい市場環境が続くかもしれません。

このような状況で不動産を購入する際には、いくつかの心構えが重要です。まず、将来の金利上昇リスクを考慮し、返済計画に十分な余裕を持たせることです。変動金利を選ぶ場合でも、金利が数パーセント上昇した場合の返済額をシミュレーションし、それに耐えられるかを慎重に判断する必要があります。

また、物件の資産価値を冷静に見極めることも不可欠です。市場全体が上昇基調にあるときほど、高値掴みをしてしまうリスクが高まります。立地や管理状態、将来の再開発計画など、価格を支える本質的な価値を多角的に分析し、市場の雰囲気に流されない判断が求められます。政府の経済政策や金融市場の動向に関する情報を継続的に収集し、長期的な視点を持って不動産と向き合う姿勢が重要です。

この記事を書いた人

住まいギーク管理人

住まいに関する情報を届けるメディア、住まいギークを運営。
ソース元を可能な限り明記し、信頼出来る記事作成を心がけています。

住まいギーク