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政府が外国人不動産所有状況をデータベース化!市場への影響は?

政府が外国人不動産所有状況をデータベース化!市場への影響は?

資産形成>知識・用語解説

作成日:2025/12/01 10:12 / 更新日:2025/12/01 10:12

1. 政府が外国人不動産所有の一元管理へ、新データベース構築を調整

1-1. 2027年度運用開始を目指す新制度の概要

日本政府は、国内における外国人による不動産所有状況を一元的に把握し、管理するための新たなデータベースを構築する方向で調整を開始しました。この新制度は、複数の政府関係者によって明らかにされ、2027年度の運用開始を目標として設定しています。読売新聞の報道によれば、この動きは高市首相が関係閣僚に対し、外国人による土地取得の実態把握を含む検討を指示したことに端を発します。

この構想の中核を担うのは、デジタル庁が整備を進めている「不動産ベース・レジストリ」であり、この先進的な基盤が活用される見込みです。内閣官房や法務省をはじめとする関係省庁が連携し、制度設計の詳細を詰めていく計画で、日本の不動産管理体制に大きな変革をもたらす可能性があります。このデータベースの構築は、これまで分散していた情報を集約し、政策立案の精度を高めることを目的としています。

データベースに登録される対象は、マンションなどの一般的な不動産登記情報に留まらず、森林や農地といった特定の土地も含まれる予定です。さらに、国土利用計画法に基づく大規模な土地取引や、安全保障上の観点から重要視される土地も網羅されます。具体的には、国境離島や防衛関係施設の周辺など、重要土地等調査・規制法が定める「重要土地」も対象となり、国の安全を守るための情報基盤としての役割も期待されています。

1-2. 不動産取引の透明化が最大の目的

新制度導入の最大の目的は、外国人による不動産取得の実態を完全に透明化し、その全体像を正確に把握することにあります。現状の法制度では、不動産の種類によって国籍の届け出義務が異なり、統一的な管理が困難な状況でした。例えば、農地を取得する際には国籍の登録が法律で義務付けられていますが、都市部のマンションなどの不動産登記ではその必要がありませんでした。

政府は今回のデータベース化を機に、こうした届け出条件の不統一を解消し、すべての不動産取引において公平で一貫したルールを適用する方針です。これにより、誰が、どの不動産を、どのような目的で所有しているのかという情報が、国によって一元的に管理されることになります。透明性の向上は、公正な市場形成を促すだけでなく、国民が抱える漠然とした不安を解消するためにも不可欠なステップです。

さらに、この透明化の動きは、法人の名義を利用した不動産取得にも及びます。外国資本が国内に拠点を置く法人を通じて不動産を取得するケースでも、その実態を正確に把握できる仕組みを整える計画です。読売新聞が報じるところによると、森林や大規模・重要土地の取引においては、法人の主要な株主や役員の国籍まで届け出を求める方向で検討が進められています。これにより、間接的な所有形態であっても、その背後にある資本の国籍を追跡することが可能となります。

国外に居住する外国人が日本の不動産を取得する際の規制も、今回の見直しで強化される見通しです。現行の外国為替及び外国貿易法(外為法)では、投資目的などの場合に届け出義務が限定的に課されていましたが、今後はその対象が拡大されます。これにより、国境を越えた不動産取引の実態もより詳細に把握できるようになり、日本の不動産市場の健全性を維持するための重要な基盤が築かれることになります。

2. なぜ今、外国人の不動産所有状況の把握が必要なのか

2-1. 安全保障上の懸念と国民の不安

政府が外国人の不動産所有状況の把握に乗り出す背景には、国民の間で高まっている安全保障上の懸念と社会的な不安があります。近年、「外国資本によって日本の土地が買い占められているのではないか」といった声や、「水源地となる森林が買収され、貴重な水資源が国外に流出する恐れがある」といった不安がメディアやインターネット上で広く議論されてきました。

特に、安全保障の観点からは、自衛隊基地や原子力発電所といった防衛・重要インフラ施設の周辺にある土地が、外国資本によって取得されることへの警戒感が強まっています。こうした土地の所有者が不明確な場合、国の安全を脅かす活動の拠点として利用されるリスクが否定できません。2021年に施行された重要土地等調査・規制法は、まさにこうした懸念に対応するために制定された法律であり、今回のデータベース構築もその延長線上にある施策と位置づけられます。

国民の不安は、必ずしも明確なデータに基づいていない場合もありますが、土地という国の根幹をなす資産が外国の手に渡ることへの漠然とした抵抗感は根強いものがあります。政府は、こうした国民感情に配慮し、まずは不動産所有の実態を正確にデータとして可視化することが不可欠だと判断しました。実態が透明化されれば、過度な不安を払拭するとともに、本当に対応が必要な問題点を特定し、的確な政策を講じることが可能になります。

2-2. 不動産価格高騰への影響と投機的取引の実態

安全保障上の懸念に加え、経済的な側面、特に不動産価格への影響も、今回の制度改革を後押しする重要な要因となっています。特に東京や大阪などの大都市圏では、外国人投資家による投機目的での不動産購入が、マンション価格を高騰させる一因になっているとの指摘が専門家からなされています。円安の進行も相まって、海外の投資家にとって日本の不動産は魅力的な投資対象となっており、その資金流入が市場価格を押し上げているという見方です。

こうした投機的な取引は、実際に居住を目的とする国内の購入者層にとっては、住宅取得のハードルを上げる要因となり得ます。住宅価格が実需と乖離して上昇を続ければ、国民の生活設計に深刻な影響を及ぼしかねません。しかし、現状ではどの程度の外国人投資家が、どのような目的で不動産を購入しているのかを正確に把握する手段が限られていました。

新しいデータベースが整備され、国籍や購入目的といった情報が収集されれば、不動産市場における外国人投資家の動向をより詳細に分析することが可能になります。これにより、価格高騰の要因が投機的なものなのか、あるいは別の要因によるものなのかを客観的に評価し、必要に応じて市場の過熱を抑制するための政策を検討することができます。取引の透明性を高めることは、健全で安定した不動産市場を維持するために不可欠な措置と言えます。

2-3. 現行法における不動産種別ごとの規制の差異と課題

現在の日本の法制度では、外国人による不動産取得に関する規制が、土地の種別や取引の性質によって異なっており、全体像の把握を困難にしています。この法制度の複雑さと不統一性が、今回のデータベース構築によって解消されるべき主要な課題の一つとして挙げられます。例えば、食料安全保障の観点から重要視される農地については、農地法に基づき、外国資本による取得が厳しく制限されており、国籍の登録も義務付けられています。

一方で、宅地やマンション、商業ビルといった一般的な不動産の取引においては、不動産登記法上、所有者の国籍を登記する義務はありません。所有者の氏名と住所が登記されるのみであるため、登記情報だけでは所有者が日本人か外国人かを判別することができません。このため、都市部における外国人による不動産所有の実態は、長年にわたり正確に把握されてきませんでした。

また、安全保障に関連する土地取引については、前述の重要土地等調査・規制法や外為法によって一定の規制が設けられています。しかし、これらの法律も特定のエリアや特定の取引形態を対象とするものであり、国内すべての不動産を網羅するものではありません。このように、法律ごとに管轄や目的が異なるため、情報が各省庁に分散し、国として一元的な視点で全体像を把握することができないという構造的な問題が存在していました。今回のデータベース構築は、こうした縦割り行政の弊害を打破し、包括的な情報管理を実現するための重要な一歩となります。

3. 新データベース導入が不動産市場に与える影響

3-1. 外国人投資家の動向変化と市場の反応予測

外国人不動産所有状況のデータベースが導入され、将来的な規制強化への道筋が示されることは、日本の不動産市場に少なからぬ影響を与えることが予想されます。特に、これまで日本の不動産市場に積極的に投資してきた外国人投資家の動向に変化が生じる可能性があります。取引の透明性が高まり、所有者情報が国によって厳格に管理されるようになれば、プライバシーを重視する一部の富裕層や、複雑な手続きを敬遠する投資家が日本市場から離れることも考えられます。

もし将来的に、読売新聞が報じているように、不動産関連の税率に国籍による差が設けられたり、取得自体に新たな規制が課されたりすれば、投資の採算性が悪化し、投資意欲が減退することは避けられないでしょう。これにより、これまで外国人投資家からの資金流入によって支えられてきた一部の高級マンション市場やリゾート地の不動産価格には、短期的に調整圧力がかかる可能性があります。市場は、規制の具体的な内容やその厳格さを見極めるまで、不透明感から様子見ムードが広がることも想定されます。

しかし、一方で、市場の透明性が向上することは、長期的に見れば健全な市場環境を育むという肯定的な側面も持ち合わせています。ルールが明確化され、公正な取引環境が保証されることで、投機的な資金ではなく、安定的で長期的な視点を持つ優良な海外投資家を呼び込むことにつながるかもしれません。市場の健全性が高まることで、国内の実需層にとっても価格の乱高下が少ない、予測可能な市場となり、結果として不動産市場全体の安定に寄与するとの見方もできます。

3-2. 将来的な税制改正や取得規制導入の可能性

今回のデータベース整備は、それ自体が目的ではなく、将来的な法整備や税制改正に向けた重要な布石と位置づけられています。読売新聞の報道によれば、政府は国籍などの情報把握の仕組みが整うことを前提として、日本人と外国人で不動産関連の税率に差をつけることや、取得自体を規制するための条件整備につなげることを視野に入れています。政府は、来年1月を目処に策定する外国人政策の基本方針で、具体的な規制の方向性を取りまとめる予定です。

考えられる税制改正の具体例としては、外国人所有者に対して固定資産税や不動産取得税の税率を高く設定することや、不動産売却時の譲渡所得に対する課税を強化することなどが挙げられます。こうした措置は、投機目的の短期的な売買を抑制し、市場の過熱を防ぐ効果が期待されます。ただし、このような国籍による差別的な課税は、国際的な租税条約との整合性や、内外人平等の原則との関係で慎重な検討が必要となるため、実現には多くの課題が伴います。

不動産の取得自体を規制する場合には、さらに踏み込んだ議論が必要となります。例えば、特定のエリア(安全保障上重要な地域や水源地など)における外国人の土地取得を許可制にしたり、面積に上限を設けたりする方法が考えられます。また、特定の国籍の個人や法人による取得を制限するといった、より厳しい措置も理論的には可能ですが、これは自由な経済活動を大きく制約し、外交問題に発展するリスクもはらんでいます。したがって、政府は国民の理解と国際社会の反応を注意深く見極めながら、段階的に制度設計を進めていくものとみられます。

3-3. 取引の透明性向上によるメリットとデメリット

不動産取引の透明性が向上することには、多くのメリットが存在します。第一に、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与といった不正な資金の流れを監視しやすくなるという点が挙げられます。所有者の実態や資金の出所が明確になることで、不動産市場が犯罪の温床となることを防ぎ、社会全体の安全性を高めることができます。これは、国際的な要請に応える上でも重要な取り組みとなります。

第二に、市場の公正性が確保され、一般の消費者が安心して取引を行える環境が整います。誰が不動産を所有しているのかという情報が明確になることで、不審な取引や詐欺的な行為が減少し、消費者の保護につながります。また、行政機関にとっても、固定資産税などの課税をより正確かつ公平に行うことが可能となり、税収の安定化にも寄与することが期待されます。実態把握が進むことで、空き家問題や都市計画といった政策を、より実態に即した形で立案・実行できるようになるでしょう。

その一方で、透明性の向上にはデメリットや慎重に配"慮すべき点も存在します。最も懸念されるのは、個人情報の保護に関する問題です。国籍を含む個人の不動産所有情報が一元管理されることに対して、プライバシー侵害のリスクを指摘する声も上がることが予想されます。収集された情報がどのように管理され、どのような目的で利用されるのかについて、国民に対して丁寧な説明と厳格な情報管理体制の構築が求められます。また、前述の通り、過度な規制は健全な海外からの投資を妨げ、経済の活力を損なうリスクも伴うため、規制のバランスを慎重に検討する必要があります。

4. 諸外国における外国人不動産取得の規制事例

4-1. 安全保障を重視する米豪の規制動向

外国人による不動産取得に関する規制は、日本だけでなく世界各国で導入されており、その内容は国の事情や歴史的背景によって様々です。特に、安全保障を重視する国々では、厳しい審査制度が設けられています。例えば、アメリカでは、対米外国投資委員会(CFIUS)が、外国企業による米国企業の買収や不動産投資が国家安全保障に与える影響を審査しています。軍事施設や重要インフラに近い不動産の取引は、特に厳格な審査の対象となり、場合によっては取引が差し止められることもあります。

オーストラリアも同様に、外国人による不動産投資に対して厳しい規制を敷いています。外国投資審査委員会(FIRB)が、一定金額以上の不動産取引について事前審査を行い、国の利益に反しないかどうかを判断します。特に、中古住宅の取得は原則として認められておらず、新築物件の開発を促進するという産業政策的な側面も持ち合わせています。また、農地に関しても、累計で一定額以上の投資を行う場合には審査が必要となるなど、食料安全保障への配慮も見られます。これらの国の事例は、安全保障や国益を保護するために、政府が不動産取引に積極的に関与する姿勢を示しており、日本の今後の制度設計においても参考にされる可能性があります。

4-2. 厳しい規制を敷くスイスやカナダの事例

不動産価格の高騰抑制や国土の保全を目的として、より厳しい取得規制を導入している国も存在します。その代表例がスイスです。スイスでは、「レックス・コルベ」と呼ばれる連邦法により、外国人の不動産取得が厳しく制限されています。非居住者である外国人が別荘などの不動産を取得するには、州政府からの許可が必要であり、その許可数には年間上限が設けられています。この法律は、投機的な不動産購入を防ぎ、国内の景観や地域社会を保護することを目的としており、世界で最も厳しい規制の一つとして知られています。

カナダでも、近年、住宅価格の高騰を受けて外国人による不動産取得への規制が強化されました。2023年1月から、外国人(非居住者)による居住用不動産の購入を2年間禁止する措置が導入されました。この政策は、国内の住宅市場を安定させ、自国民の住宅取得機会を確保することを直接的な目的としています。例外として、一部の留学生や就労ビザ保持者などは対象外とされていますが、投機目的の購入を明確に抑制しようとする強い意志が感じられます。これらの事例は、不動産市場の安定や国民生活の保護を最優先課題として、外国からの資本流入を直接的にコントロールしようとするアプローチであり、日本の議論にも影響を与える可能性があります。

4-3. 日本の新制度が目指す方向性と国際比較

今回、日本政府が検討しているデータベースの構築は、これらの諸外国の事例と比較すると、直接的な取得規制ではなく、まずは実態把握と透明性の確保という第一歩を踏み出すものと位置づけられます。多くの国が既に何らかの形で外国人の不動産所有状況を把握する仕組みを持っている中、日本はこの分野で比較的規制が緩やかであったと言えます。新制度の導入は、日本が不動産管理においてグローバルスタンダードに近づくための重要なプロセスです。

データベースの整備後、日本がどのような規制を導入するかは今後の議論に委ねられていますが、諸外国の事例は多様な選択肢を示唆しています。アメリカやオーストラリアのように安全保障を主眼に置いた審査制度を導入するのか、あるいはカナダのように住宅市場の安定を目的とした直接的な購入制限に踏み込むのか、その方向性はまだ定まっていません。日本の新制度は、安全保障上の懸念、不動産価格の安定、そして自由な経済活動の維持という複数の目的を、どのようにバランスさせるかという難しい課題に直面しています。

最終的に導入される規制は、日本の社会経済状況や国民感情を反映したものになるでしょう。諸外国の成功事例や失敗事例を十分に分析し、日本の国益に最も資する独自の制度を構築していくことが求められます。今回のデータベース構築は、そのための客観的で正確なデータ基盤を整備するものであり、今後の日本の不動産政策を左右する極めて重要な一歩であると言えます。

出展:読売新聞「外国人の不動産所有状況を一元管理、登記・国籍を登録…27年度にも運用へ政府調整」

https://news.livedoor.com/article/detail/30107814/

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